2016年11月5日
『沖縄うりずんの雨』の再編集英語版『Okinawa:the Afterburn』全米8カ所で上映ツアー中。ボストンのハーバード大学での上映を終え、NYでも11月5日、監督のジャン・ユンカーマンさんを迎えた上映会が開かれました。日本版に比べて2時間に短縮されたほか、アメリカの観客に沖縄の今をみてもらうため、新たなインタビューが加えられました。
中でも本当に良かったと思うのは、石川真生さんのつてで2月に会うことができたという、ユンカーマンさんが沖縄の「心であり魂」であると呼ぶ嘉陽宗義さんの登場でした。先日、94歳で亡くなったばかり。FBでのチエゾウさんの「嘉陽のオジィは、生きている間ずっと、辺野古に新基地を作らせなかったんだよね。」ということばが頭をよぎり、こうしてこの貴重なドキュメンタリーの中で生き続けてくださることを心からうれしく思いました。
また、いま大変に気がかりな山城博治さん、沖縄の平和への思いを次世代につなげる、玉城愛さんたち元シールズの若者たちの声がはいったことも戦争の無い世界をつくっていくため世界の若者たちに呼びかけていきたいというユンカーマンさんの思いが込められているようでした。
日本語版と英語版とのタイトルの違いについては、沖縄戦の部分を編集するために戦時に撮影された100時間もの生映像を見たが、特に沖縄戦の末期には火炎放射器が多用され、沖縄が焼かれ焦土と化したことが頭に強く残っていたといいます。編集が一段落してアメリカに休暇旅行に来て時差ぼけのぐるぐるした頭の中でAfterburnということばを思いついたが、そんな英語が本当にあるのか。後で調べたら、確かに存在し、心理学的に「トラウマ的な体験がそれを引き起こした原因が解決されるまで、原初体験を超えて深くはびこっていく」という意味だとわかり、いまだに基地という大変な重荷を背負いこまされている沖縄の現状にぴったりだと思ったといいます。
上映後のトークの中でユンカーマンさんが語ることばの端々からは、沖縄への尊敬と感嘆の思いがほとばしります。辺野古に行ってみても、行くまではもう絶望のきわみだと思われたのに、人々は歌い踊り、明るい。とんでもないはめにおかれながら、嘉陽さんも(そして伊江島の阿波根さんも)相手の尊敬を勝ち得る大きな心で立ち向かい続けてきた歴史。希望もそこにある。映画は、声高に政治的メッセージをふりまくのではなく、ユンカーマンさんが沖縄で吸い込んだその力強い希望を世界に大切に届けたいという思いにあふれているように思えました。
会場には、ウチナンチューではないけれど占領中の沖縄で生まれ、その後、本土に移り、いまはニューヨークで日本語の先生をしているという女性が生徒たちと一緒に来ていたり、アメリカの大統領選を見物に日本から来ている元シールズのメンバーがいたりとか、日米、その他、さまざまな人たちが集まり、活発な質疑応答がおこなわれました。
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