ドキュメンタリー映画『ザ・思いやり』のNYでの上映会(海外初上映だそう)に行ってきました。すでに6兆円もの税金が注ぎこまれてしまった、どう考えてもいびつな日本の思いやり予算の問題にコミカルにかつ真摯に向き合った作品です。
上映後のリラン・バクレー監督のビデオトークによると(ウィキリークスが暴露した)イラク戦争の映像『コラテラル・マーダー』を見たのが製作の引き金。厚木基地に近い綾瀬で家族とともに暮らすバクレーさんは、毎日のように騒音を立てて頭上を飛ぶ自国アメリカの戦闘機が殺戮に直結していることを知り、やむにやまれぬ思いにかられました。
なぜ?どうして?の素朴な疑問
津波のためにすべてを失い先行きの見えない暮らしを送る被災者は後回しにして、米軍とその家族、基地施設のために巨額な税金を注ぎ込む日本政府。沖縄の負担軽減のためグアムに基地機能の一部を移転する計画もありこれにも日本政府が巨額を拠出していますが、大規模な人口の突然の流入と施設建設がグアムの自然と社会環境に壊滅的な打撃を与えるのは必至です。
被害者は、基地周辺の住民にとどまりません。潤沢な住宅や暮らしを日本で提供され良い目を見ているはずの米兵も、激戦地に送られた末、生命を落としたり、心身ともに取り返しのつかない傷を負い、帰国後も貧困や孤独の中で苦しんでいる人たちが大勢います。幸せだった家族生活も破壊されてしまうのです。
今後5年間で約9500億円
お人好しの国民を美辞麗句で金縛りにして、やりたい放題やる。日本政府のいつもながらの悪巧みがここでもまた繰り広げられています。「思いやり」という温かく人情あふれることばを食い物にして汚してしまった。
映画は、グアムからハリウッド、沖縄、石巻などなどでさまざまな人々の声を集めています。が、結局のところ、私たちが問いかけるべき相手は私たち自身です。なぜ、私たちはこんないびつな予算を通させてしまっているのか?なぜ、とめようとしないのか?どうしたら、とめられるのか?
ちなみに、『コラテラル・マーダー』のビデオをわたしたちの目に触れさせてくれた最大の貢献者チェルシー・マニングは2013年に、スパイ活動法などに違反したとして禁固35年の有罪判決を受けて現在も服役中で、何かと脚光を浴びるスノーデンと比べて、忘れられた存在にされつつあります。
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