辺野古新基地阻止・沖縄からの米軍基地撤退を訴え、ある時はホワイトハウス前やペンタゴン入口でバナーを広げ、ある時はチラシを手に議員会館をひとり巡る、いまや伝説の人と化しつつあるShizu Takasu さん。
お遍路さんなら独り歩きでも弘法大師がついてくる。ひとりでの議員めぐりは寂しかろう。たまには、同行二人でと遠足気分でついてまわった。
【まずは上院】この日は、軍事委員会のメンバー、プラス、応援したいししてほしくもあるサンダース上院議員を足して28人分、あとは軍事委員会連絡事務所をまわる。
そも、軍事委員会とはなにか?「委員会は総額7000億ドルを超える国防総省予算の方針を決め、米軍の広範なポストの候補者を審査する」んだそうだ。いまは亡き「マケイン委員長の下では国防支出に無駄がないか監視する役目を果たし」、外交委員会と並び、上院の中でも最も大きい影響力をもっている。
Shizu さんの顔はまわりはじめこそ、緊張でこわばっていたものの、通い始めてこれで数回目。応対するスタッフにも顔なじみが生まれつつある。知られてしまえば、「毎度、おおきに」の余裕が生まれる。
中には、日本びいきもいる。「こんにちは、私の名はジョーです。姉は僕をジョーちゃんと呼びます」と向こうから握手の手をさしのべてくるスタッフも。それでなくても若いスタッフたちはオフィス訪れる選挙民への窓口とあってさすがしつけよく、まずフレンドリーだ。
なので辺野古埋立許可撤回を伝えるミッションはShizu さんに任せて、私はといえば、議員の部屋においてある各州特産のおみやげサンプルやインテリアの物色に余念ない。
ミシシッピ州はピーナツとギター。ジョージア州はピーナツとお米。アイダホの議員の部屋にはポップコーン・マシン。巨大なバッファローの頭を自慢げに飾っているのは、ネブラスカとサウスダコタの上院議員だ。
ハワイ選出のメイジー・ヒロノ議員の部屋では、折り紙で鶴が折れる。福島生まれのヒロノ議員は、アメリカ史上初のアジア系女性上院議員。
ウィキによると議員の母親が「酒乱でばくち打ち」の獣医の夫から逃れて3人の子供を連れてハワイに移住したのを契機に、8歳の時からホノルルで育った。貧しかったため裸足で小学校に通学し、新聞配達などをして家計を助け、1959年にアメリカに帰化した、と劇的な生い立ちだ。
2015年にハワイを訪問した翁長知事は同議員に会い、名護市辺野古の新基地を「絶対に造らせない」と伝え、計画見直しに協力を求めたが、ヒロノ議員は知事の説明に「理解した」と同調しつつも「沖縄はもっと日本政府に訴えるべきだ」と述べ、新基地建設は基本的に日本の国内問題だとの認識を示した、と報道されている。デニーさんにもう一押し、してほしい。
ちなみにShizu さんが廊下で楽し気に話している写真の相手は、マケイン逝去後に上院上院軍事委員会委員長に昇格したジェームズ・インホフ共和党議員のスタッフ。
超愛想も気持ちもいい若者で北海道に行ったことがあるとかで盛り上がったのだが、親分のインホフ議員はごりごりの地球温暖化否定派、トランプ大好きのお人らしい。オバマ政権時代には軍事費削減に反対していたこの人が、マケイン氏が治療に専念するために不在の間、委員長代理を務めてきた。インホフの委員長就任で、複数の米メディアが国防総省への監視機能が甘くなるのではと予想する、どうにも困った人らしい。それでも、一時、マケインと共に軍普天間飛行場の名護市辺野古移設見直しを支持したこともある。なんかのきっかけでまた変わらないとも限らない。
一方、マケイン議員の逝去で、アリゾナ州知事の指名でやおら上院議員に返り咲いたジョン・カイル氏のオフィスは場末に置かれ、入居間もないらしく、ひもで縛ったままの郵便物がうずたかく積まれ、スタッフが一人で荷物整理に悪戦苦闘していた。この人も、軍事委員会の新メンバーになるらしい。
ま、そんなやこんなの珍道中。本格的なロビーイングは政治家や団体にお任せ。一市民にできることをShizu さんは探っている。
そんなことして、なんになる?という声は、当然、聞こえてくるし、Shizu さんの心にも、そんな思いがよぎることだってある。逆に大きすぎる期待はあまりにも重い。それでも議会につらなる若者たちに少しでも沖縄を知ってほしい、ほんの少しのことでも繰り返すことで情報も積み重なる。興味・関心も出てくるかも、と願う。実際、そんな手ごたえも感じられはじめ、果敢にアプローチをあきらめない。がんばってね~。
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