July 9, 2018
ある時は禁欲の求道者、ある時はロマンと野望に燃えるドン・キホーテ、はたまたある時はドジなシンちゃんと化す在米沖縄反基地アクティビストのかがみ、シズさんが新天地・首都ワシントンのペンタゴン前で週1回、沖縄スタンディングを始めた。なにはともあれ、軍関係者の目に抗議の声が直接、触れる。その直結感にわくわく。これはいっちょ、行ってみなくちゃ。
おまけに、つい先日、サンフランシスコからジュゴン訴訟に集まった人たちの和気あいあいとした明るい活動のニュースがNYにも届いたばかり。また、辺野古でも週末にジュゴン・サンゴを守ろう2000人集会が開かれた。こじんまりながら、東海岸も、がんばるぞ。そういえば、シズさんバナーの中でも傑作の、ジュゴン・バナーを預かっていた。これ、届けるなら、いま。というわけで、またしてもDC詣でとあいなった
シズさんのこの間のFB投稿で、ノーマン・メイラーの『夜の軍隊』が1967年、ベトナム戦争時代に起きたペンタゴンへの反戦デモをテーマにした作品と知り、ぜひ読みたいと思うものの、さすがにまだ手に入らない。
バスでの道中の調べものは、911でペンタゴンに突っ込んだ同時多発テロをめぐる陰謀説。というのも、つい先日、ある人から20人の子供たちが銃撃で亡くなったサンディフック小学校襲撃事件はまっかな嘘で、殺されたはずの子供たちは、ほれ、20年後、こんなに元気に成長したという「証拠」の同窓会風グループショットをある人から見せられたばかり。いやあ、政府や金儲け好きなビジネスは金儲けのためになんでもすると心底、信じてる人は大勢いるのだ。
普通は集会禁止のはずのペンタゴン前の週1回の集まりは人々の朝の通勤時間にかかる午前7時から8時までの1時間。シズさんが知り合いになった毎週レギュラーのグループは、なんと1987年から毎週、やってくるという。いまは1カ所でしか許可されていないが、911前はペンタゴンのビルの周囲、あちこちに立つことができたという。何度も逮捕者を出しながら、集会の権利を勝ち取ってきた歴史を刻んだ人たちだ。
1980年代半ばといえば、ベテランズ・フォー・ピースの創設もその頃だ。私はまだアメリカに来て間もなかったからまったくピンと来ていなかったけれど、ロナルド・レーガン政権下のこの頃、アメリカは南米に介入し、平和活動家たちを行動に駆り立てていた。ベトナム戦争が終わっても、アメリカは平和を学ばなかった。この国は、いつでも戦争をしている。
屋外駐車場に車を置いて、建物の入り口に向かう人、一部、地下鉄の別の出口から出たらしい人たち、通勤者が続々と前を通っていく。朝からじりじり暑い日射しの下、サングラスをかけている人が多くて表情はわかりにくいけれど、島袋文子さんが機動隊につかまれた大きな写真、辺野古の美しい海、座り込みの人たちなどなどの大判の写真をフェンスにずらりとはさみ、ジュゴンの大きなバナーに、ひっきりなしに通る人たちの目が釘付けになる。シズさんの見ろ見ろ攻撃、大正解だ。
ペンタゴンには外国の兵士も来るらしく、アジア系の一団も通りすぎた。一緒の立っていたコリアから来たセリーヌに聞いたら、たぶん韓国の空軍関係者とのこと。
残念ながらスタンディングが許されている場所は建物に近いため、写真撮影が禁止されている。8時をまわったあと、撮影が許される場所まで歩いて証拠写真を撮影。そのまま、敷地内にあるペンタゴン911メモリアルを覗いていくことにした。
あの日、近くのダレス空港から飛び立ち、ロサンゼルスに向かうはずのアメリカン航空77便がペンタゴンに突っ込んで多くの犠牲者を出した。メモリアルはテロリストとされる5名をのぞく184人の死者すべてを記念している。
184人のうち、ペンタゴン関係の死者は、125人。そのうち、70人が民間人で55人が軍人だったとされるが、今日目にした通勤者の比率も、軍人でも制服を着用していない人もいただろうから、ほぼ、そんな感じだった。
犠牲者ひとりひとりの名が刻まれたベンチが、ペンタゴン関係者は建物に飛行機がつっこんだ方角、航空機のスタッフおよび乗客は飛行機が飛んできた方角を向いて設置されているという。それぞれのベンチの下には水が張ってあり、せせらぎが聞こえるが、訪れる人も少ないのか、水が止まってふっかりよどんでいるベンチもあり、お掃除の人はいるもののあんまり大事にされてない感がする。
あの日以来、世界中でいったい何人がアメリカの戦いで命を落とし、いったい何人が米軍基地を押し付けられて苦しんでいることか。ここに来たくでもこられない人、声をあげられないまま逝ってしまった人、これから災厄を背負わされかねない人たちのために、アクティビストはやって来て、力を合わせあう。
秋になったら、また来よう。
シズさん、人手募集中。DC近辺に立ち回り、参加できそうな方、お声をかけてあげてください。
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