January 29, 2017
1月27日に、トランプが中東・アフリカの7カ国(イラン、イラク、リビア、ソマリア、スーダン、シリア、イエメン)の国民や難民の入国を一時禁止する大統領令に署名し、即、実施になったため、大混乱のアメリカ。
考えは浅いが実行力(だけ)が売りなため、細かいこと言わずにやっちまえということでさっさと決めてしまったらしい。
大体、なぜ、この7カ国が対象なのかすら、よくわからない。言っちゃ悪いがこのコンセプトなら、どうしてあの国ははいらないの?(911の実行犯はどのこの国の人だっけ~?ちなみにイランはISISの敵だぞ)という国がいくつかあり、逆にこの7カ国の出身者でアメリカでテロを仕掛けた人は皆無なのです。
また、細かい基準が指示されていないので、入管の現場も、永住権保持者(グリーンカード)保持者はどうするのかなどなど、ケースバイケースと言われたって、わけがわからず大混乱です。その分、旅行者の不安もつのります。。
大統領権限の絶大さをみせつけられ、いまさらながら市民は愕然としています。90日間の禁止の間に移民入国審査手続きを修正するということですが、その間、たまたますでに出国していいた在米の留学生、大学教授、ジャーナリストが戻ってこられない可能性、あるいは出張や旅行に出たら帰国できない可能性があります。
また、その後も故国にいる家族のお葬式や結婚式などに出かけたまま戻ってこられなくなって家族が別れ別れになってしまうことだって起こりうるのです。
実際、イラン生まれで英国のパスポートももつBBCのジャーナリストさえ、ロンドンからのフライトで着いたシカゴのオヘア空港で一時、拘置され、「なぜアフガニスタンに行ったのか」などしつこい質問を受けた末、携帯電話のパスワードを要求され、私的なメールなども閲覧されてしまいました。主要メディアのジャーナリストでさえ、これです。入管で別室につれて行かれるときの不安な心許なさは、体験したことがないとなかなかわからないですが、強烈です。
移民制限は、家族にとって大変重い問題です。ニューヨークで普通に暮らしていれば、自分自身が移民、でなければご近所や学校の友達、先生、職場の同僚、近所のお店など、移民との個人的なつきあいは日常茶飯事で、身近にいるそんな人たちがつらい目にあうのは情けなく、悔しく、とんでもなく腹の立つことなのです。
だからこそ、29日の日曜日にニューヨークのバッテリーパークで開かれた抗議集会には小さな子供連れの家族での参加が目につきました。それに、テロ対策と銘打っているものの、騒ぎが大きいだけでピント外れ。ムスリムを敵にまわす差別まるだしのこんな策は逆効果で、世界の平和をますます危険にさらすだけです。
土曜にも空港でデモがもりあがりました。そして、ブルックリンの連邦判事が、入国を拒否されたイラク人2人の訴えを聞き、入国を認めたことで人々は歓喜にわきました。しかし、この裁決は他の大勢の人に即、影響を及ぼすわけではなく、大統領令を根底からくつがえすにはほど遠かったことから、抗議は続いています。
日曜の集会がフェースブックのイベントページで紹介されると、はじめは「行く」と行っていた人は2000人くらいだったのが、当日、朝には1万3000人に膨らんでいました。
デモが盛況かどうかは、地下鉄の駅に行ってみるとわかります。
集会の会場は、マンハッタンの南の端、自由の女神へのフェリーの発着場があるバッテリーパーク。地下鉄のRラインのくだりのプラットフォームに行くと、すでに思い思いのサインを手にした人たち、ベンチにすわってサインを書いている人たちでにぎわっていました。
ひと駅ごとに人は増え、「デモご一行様」貸し切り満員電車モードで、到着間近になると「No hate. No fear. Immigrant are welcome here.(ヘイトはだめ。恐怖心なんていらない。移民歓迎)」という合唱が車両にとどろきわたっていたのです。
抗議は全国各地に広まり、裁判所もがんばっています。ニューヨークを含め、少なくとも四つの裁判所で、拘束された人たちの強制退去を止めるなど大統領令の効力の一部を停止する決定が出ています。。カリフォルニア州の裁判所は29日、入国が認められずに送還されたイラン人について、米政府が再び連れてきて、入国させなければならないと命じました。
また15州と首都ワシントンの司法長官が、大統領令を「違憲で違法」と非難する連名の声明を発表し、大統領令の無効を求めて提訴することも示唆していると言われます。
また、空港につめたボランティアの弁護士たちは、拘留された人を探し、飛行機のフライトをチェックし、必要な書類を作成するなど支援活動に励んでいます。この活動の中心になっているアメリカ自由人権協会(ACLU)には、またたくうちに2400万ドルを超える寄付が寄せられています。
三権分立のもうひとつの基軸、議会ももちろん、重要です。ニューヨークでは30日の月曜にWhat the f*ck, Chuck?!という集会が予定されています。チャックとはNY選出の民主党上院議員のチャック・シューマーのことですが、トランプの閣僚を承認する上院の委員会でマティス国防長官、ポンペオCIA長官、ケリー国土安全保障長官になんと「承認」票をいれてしまったのです。集会は、「チャック、あんたなにしとんねん」と怒りの圧力をかけるのがねらいです。これが刺激になったのか、シューマー上院議員は29日夜、トランプの入国禁止令に抗議する涙の発言を行いました。
また、シューマーは、30日にツイッターで、デボス教育長官、ティラーソン国務長官、セッションズ司法長官の指名に関しては、上院で反対票を投じると断言しました。有権者によるプレッシャーがきいてきています。
怒りといえば、トランプと電話会談した安倍首相が、「就任直後から精力的に行動され、トランプ時代の幕開けを強烈に印象づけた」さらに「トランプ氏の指導力によって、米国がよりいっそう偉大な国になることを期待しており、信頼できる同盟国として役割を果たしていきたい」と語ったと聞き、憤懣やるかたありません。
「米国がよりいっそう偉大な国になる」はずないじゃん。こんなじゃ~。こんな節操のない大統領に「信頼される国」になって「どんな役割」を果たしたいのだろう。悪夢です。
でも、声をあげなきゃ始まらない。うじうじしてると大変なことになる兆し濃厚、だもん、ね。
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