January 22, 2017
1月21日、ワシントンで開催されたウィメンズ・マーチ。なんと50万人が参加。ピンクのプッシーキャット帽が首都をうずめました。前日のトランプ大統領就任式を祝いに集まった人(政権は、空前の人並みと見え透いた嘘をついて、さっそくメディアに叩かれていますが)の3倍だとか。また、ワシントンだけでなく、ニューヨークでも40万人近く(NYタイムズ記事)が集まり、全米各地の参加者を合わせると300万(主催者側発表)にのぼりました。
日本の主要メディアは、「反トランプ」として片付けているようですが、集まった人たちの思いはそれをはるかに超えています。でも、まず、もちろんはトランプの言動への怒り。女性のボディを、金と地位とパワーに守られて、いいようにもて遊び、しかもそれを自慢にする。こんな男がのさばる社会では、女性はたくさんのものをあきらめなくはいけません。安心してのんきにしていられる時間、愛し愛されることを自分でコントロールすること、不愉快千万ないやっちい男の接触を犠牲を払わずに避けること、自分でいることの尊厳。
ジャネット・モックはベストセラー作家、TV司会者、 トランスジェンダーの権利を擁護するアクティビスト |
女性の権利、そしてとりわけ、避妊や中絶、性と生殖にまつわる権利と自由。70年代以来、勝ち取ってきた権利を政府が無視したりマイナスに介入する可能性に、実害をうけかねないと、怒っている女性たちも、もちろん、たくさんいます。
白人男性、中でもパワーをふるうことに快感を覚えるタイプを代表する大統領が、アメリカが民主主義の理念のもと、ようやっとつみあげてきた多様性を切り捨てていこうとしていることに、「アメリカはいったいどうなってしまうのか?」という危惧が、大勢の女性、そしてその声に共鳴する男性たちをたちあがらせたのです。
自由に生きていくことの基本をなす、自分の身体(ボディ)。これを蹂躙されることに「ノー」と言うとき、大事な権利を蹂躙されることで生存を脅かされる他の人々の痛みも、ひしひしと感じられます。だからこそ、ウィメンズ・マーチには、トランプが危機にさらそうとしているさまざまな権利を守ることが当然のこととしてくみこまれ、人種、宗教、LGBTQ、教育、最低賃金、投票権、環境、銃規制、健康保険、報道の自由など、多様な課題をあらためてアメリカ社会につきつけることになりました。
左から、カーメン・ペレス、タミカ・マロリー、リンダ・サースール |
呼びかけ人の中心になったのは、ニューヨークに住むパレスチナ系アメリカ人アクティビストのリンダ・サースール、銃規制はじめさまざま問題で活発な活動を行っているブラック・アメリカンのタミカ・マロリー、警察の暴力などの問題に取り組むラティーノのカーメン・ペレス。
後援団体は、進歩的な政策の推進に向け市民の結集をはかるMOVE ON、憲法に決められた個人の権利を司法面で支援する法律家たちの団体ACLU、ヘルスケア労働者組合1199SEIU、避妊・中絶はじめ生殖に関する健康のためのサービスを提供するPlanned Parenthood、生殖に関する自由に賛成する立場の連邦議員と知事の選出をめざす運動を行っているEmily's Listなどの大規模な団体をはじめ、全部で200団体を超えました。
5歳のソフィーちゃん |
「早く行進しようよ~」という声があがるほど、もりだくさんのスピーチと音楽の集会は4時間あまりもの長さ。主な演説を行ったのは、マイケル・ムーア、グロリア・スタイネム、アンジェラ・デイビスのほか、警官に息子を殺害されたトレイボン・マーティンなどのお母さんたち、滞在許可をもたない非正規移民の家族たちを代表して5歳のソフィー・クルスちゃん、女優のスカーレット・ヨハンソンなどなど。
ジャネール・モネイと警官に家族を殺された女性たち |
登場したミュージシャンも、アリシア・キーズ、アンジェリーク・キジョー、ジャネール・モネイ、マックスウェルなど、豪華版。そしてせっかちに、終わりを待たずにホワイト・ハウスに向けてデモに出かけてしまった人たちが見逃したマドンナが、それはもう、スーパースターのカリスマで観衆をもりあげ、「今日は、ほんの初日、闘いは始まったばかりよ」と檄をとばしました。
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