2018年3月27日火曜日

子供たちがアメリカを変える 銃規制を求めて全米を動かした

2月、フロリダ州のマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校で退学させられた19歳の元生徒がアサルトライフルで生徒14人、先生3人の命を奪った痛ましい事件は、何度事件が起きても動かないおとなたちに揺さぶりをかける、高校生たちによる銃規制運動を全米各地でまきおこしました。

3月24日に首都ワシントンで行われた大集会「March for Our Lives (私たちの生命のための行進)」にはおとなも子供もあわせて20万人が参加しましたが、子供たちの演説が、すごい。自分をしっかりもっていて、揺るぎだにしない。まばゆい子供たち、輝く若者たち。スピーチのいくつかをまとめてみました。




銃規制を訴える高校生たちのキャンペーン、March For Our Lives. 3月24日、ワシントンでの集会で演説した18歳のエマ・ゴンザレスさん。退校させられた19歳の男の子による乱射事件で殺された17人の生徒たちの絶たれた命を追悼し、演説の残り時間を沈黙のまま、堂々と立ち続けました。

エマは、乱射のとき、6分20秒、気配を悟られないよう、息をひそめて射殺犯が現場を去るのを待ち続けてました。沈黙の演説は、その時の声をあげられない沈黙の長い時間、ひとりおののいた恐怖を一緒に感じてねと観衆を引き寄せるものであり、また、もう声をあげることができない犠牲者たちへの無念をあらわす、ことばを超えた強烈な訴えでもあったのです。キューバ系でバイセクシュアルを公言しているエマ。自分のスタイルをしっかりもった子。全米の同年代の子供たちを動かす、運動の代表的な顔と声になりました。





サム・フエンテスは18歳。2月に起きたフロリダの高校での銃乱射事件で両脚に銃弾を浴び、顔にも傷を負った。いまも銃弾の破片が顔に残っていて、金属を手で触れるんだそうです。

事件後、PTSDに苦しみながら、私たちが動かなければと、銃規制を訴えて議員への訪問や集会への参加を行っている。 3月24日のMarch for Our Lives でスピーチを行おうとしたサムは、感極まって演壇のうえで、吐いてしまいました。

だけど、「全世界が見ている前で吐くなんて、こんな気持ちのいいことないわ」と全然、めげない。

 ワシントンの集会には、20万人近くが参加したといわれ、全米各地、そして世界のさまざまな場所で連帯した集まりがもたれたけれど、今度こそ、未来を担う若い子たちの怒りと悲しみの声が銃産業の圧力にひたされてきた、ほんと吐き気がするようなアメリカを変えますように。



March for Our Lives から11歳の女の子、ナオミ・ウォルダーさん。堂々とすごいです。銃規制を訴えて、なんと友達と一緒に小学校でウォークアウト(授業放棄のストライキ)を企画・実行したリーダーのひとりなんだそうです。

 「ハイ、私はナオミです。11歳です。14日に友達のカーターと一緒に18分間のウォークアウトを行いました。(フロリダのハイスクール銃乱射時間の犠牲者は17人。ひとり1分間。18分にしたのは)パークランド銃撃事件後に、アラバマで銃による暴力の犠牲になったアフリカ系アメリカ人の女の子、コートリン・アリントンの分を加えたからです。

私は、コートリン・アリントンの代わりに今日、ここに参加しています。ハディヤ・ペンドルトンのために、そして首都ワシントンの自分の家で殺された16歳のタイヤニア・トンプソンに代わって、ここにいます。全国の新聞の一面のニュースになることがない、夕方のテレビのニュースの話題にされることのないアフリカ系アメリカ人の犠牲者のために、ここにいます。

私は銃による犯罪の犠牲となったアフリカ系アメリカ人の女性たちを代表してここにいます。 可能性をたくさん秘めてはつらつと生きているビューティフルな女の子たちなのに、(犠牲者という)統計上の数に加えられて終わりです。 

私がここに立っているのは、特権です。本当にすごい特権です。声を聞いてもらえるのですから。

名前がかたられることなく、声をあげることも耳を貸されることもない女性たち。ただ、数にしかすぎない存在。こうした女性たちにそんなことが、これから二度と起きないよう、私はここにいます。ひとりひとりがかけがえのない人たちなのだと、誰もが気づくべきなのです。
私は犠牲者となった人たちの物語に気づき、それがとても大事なのだ、というためにここにいます。彼女たちをひとりひとり名前のある人としてその名を呼ぶために、そして私にはそれができるから、それが私に求められていることだから、ここにいます。

あまりにも長い間、こうした黒人の女の子たちの名はかたられず、数字にすぎませんでした。女の子たちが「二度とそんな目にあってはいけない」というためにここにいます。女の子たち、ひとりひとりがかけがえのない存在なのです。

こんな自分の意見を口にするには、私は幼すぎるという人たちがいるかもしれません。名前を出さないおとなの道具につかわれていると言った人たちもいます。でもそんなこと、ありません。

友達も私もまだ11歳だし、まだ小学生です。でも私たちは、私たちの命がほかの人と同等に扱われてはいないことを知っていますし、何が正しいか、何が間違っているかもわかっています。

そしてまた、いま、議事堂のすぐそばに私たちが立っていて、たった7年もすれば私たちも票を投じる権利がもてることを知っています。

トニ・モリソンがこんなことを言っています。読みたいことを書いた本がまだないのなら、あなた自身の手で書かなければだめなんだ、と。

今日、ここにいる皆さん、私の声を耳にする皆さん、どうか私と一緒に、まだ語られていない物語を語っていきましょう。この国で比較にならないほど高い割合で殺された、ブラックやブラウンの女の子や女性のために。

この世界の物語を私が書くのを助けてください。こうした女の子が女性たちが、忘れ去られないように。

ありがとうございました。」





銃規制を求める高校生たちの運動「March for Our Lives」。堂々と意見を述べる高校生たち。声援を送る子たち。
「読み書きを習うより早く、飛んでくる流れ弾に当たらないよう、地面に伏せることを学んだ」と、17歳のロサンゼルスの高校生、エドナ・チャベスさん。
銃が蔓延するコミュニティでの暮らしを語り始めます。デモクラシー・ナウ!の実況中継からの抜粋です。

エドナは高校生だったお兄ちゃんのリカルドを銃撃で失いました。ポンと花火がはじけるような音がして、あっけない死に様。会場で全員が「リカルド」の名を呼んで、エドナを力づけます。

力強いスピーチは続きます。
「その時、私が失ったのは、私のヒーローだったお兄ちゃんだけではありませんでした。妹もお母さんも、そして私自身も、トラウマと不安で自らを失いました。

銃弾では殺されなかったけれど、トラウマと不安でそれまでの私は死にました。何をしてもトラウマがついてきます。そしてそんな体験をしているのは、私ひとりではありません。

何十年もの間サウスロサンゼルスの私たちのコミュニティは、こんな暴力に慣れてしまいました。追悼のキャンドルやポスターを目にするのが、黒人やラティノの若者が銃弾で倒れ、追悼が日常茶飯事になっています。

警察が安全を与えてくれるでしょうか?黒人やラティノの子たちをプロファイルして犯罪者にしたてるだけです。そうではなくて、正義を取り戻すことが必要です。根本の原因を追求し、解決をはかる必要があります。

私は、フロリダの高校生たち、兄のリカルド、私のコミュニティに敬意を表するために今日、ここに来ました。この問題が問題だと認識されるまでに、あと何人が命を落とさないといけないのでしょうか。

議員のみなさん、軍の指導官、耳を貸してください。学校の警備を厳しくしても解決にはなりません。生徒を犯罪者扱いするだけです。
そんなことにお金を出すかわりにメンター制度プログラムに出資してください。精神障害のためのリソースに、インターン制度や雇用の機会創出に。

それが私たち、皆の役に立ちます。暴力をはぐくんでいる環境を変える必要があります。だからコミュニティを変えるため、声をあげねばなりません。私たちは止まりません、力をつけていくだけです。

私の名は、エドナ・チャベス。この名を忘れないでください。犠牲者たちを、私たちのことを忘れないでください。そして私たちがどうやって変化を起こそうとしているのかを。みなさん、ありがとう。」

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