2016年12月31日土曜日

闘いは続く ダコタ・アクセス・パイプライン建設反対への連帯が開く大きな可能性



Dec 31, 2016

ノースダコタ州の先住民スタンディングロック・スー族のパイプライン建設反対運動は、高江や辺野古の基地拡大反対運動につらなる非暴力不服従運動として語られることも多くなっています。

確かに多くのことが共通しています。先祖代々受け継がれてきた自然と土地を守りたい先住の人々、国や巨大ビジネスによる現地の人々の思いを無視した巨大な建設計画、計画が実現してしまうとその影響がその土地は現地周辺だけではなく遠く離れて暮らす大勢の人たちにも及ぶこと、建設のしわよせが選ばれてしまった一部の人たちだけに過重に押しつけられ、元から存在した差別が反対の声を聴かない要因のひとつになっていること、反対する市民活動に暴力的な取締や規制が課されていることなど、私自身、なんど、高江のことを思ったことでしょう。

現在、一時的な「勝利」が伝えられたものの次期大統領トランプの就任が決定的な試練を与える火種となると予測されているこの民衆運動の大きなうねりの現在と意義、ありうるかもしれない大きな可能性について大晦日を機にまとめてみました。


先住民と共に スタンディング・ロックからの報告会



Dec 31, 2016

1217日、「スタンディンロックからの報告会」(Reporting Back from Standing Rock)がNYで開かれました。独立系メディアDeep Dish TVが主催したこのイベントの全記録は、司会を務めたレベッカ・センテノが制作した記録映像でみられます。スピーカーは、「戦争に反対するイラク帰還兵(IVAW)」の共同代表マット・ハワード、独立メディアPaper Tiger などで活動するフィルムメーカーのジュリー・ルドウィグ、パレスチナに関する作品もつくってきた独立系フィルムメーカーのマット・ピーターソン、「水を守る人」の一員として野営地で運動のインフラや物流に関わってきたウィル・マンガーなど、ダコタ・アクセス・パイプライン建設反対の現場に赴いて生身の運動を見、体験してきた人たちでした。

高江や辺野古の運動の合わせ鏡として語られることも多い先住民の運動に、彼らは何を見たか? まとめてみました。

2016年12月29日木曜日

日米関係の試練 トランプを待ちながら 

NYタイムズ紙 2016年12月27日

NYタイムズ紙の安倍首相の真珠湾訪問関連記事でもうひとつ面白かったのは、やはりMotoko Rih 記者が書いた背景説明記事{オバマ後、試練を迎えるか、安倍首相の日米のきずな}でした。
またしても乱暴にざざっと内容を拾うとこんな感じです。

「ナショナリストになびく安倍首相だが、オバマとの日米は少なくともここ40年来、もっとも強い信頼関係を結んできた。というのも、オバマのような民主党政権が喜ぶいくつかの政策をとってきたからだ。

沖縄での強い反対にもかかわらず、米軍基地への支援を強化したし、日本の軍隊である自衛隊が海外で戦闘作戦に参加することを可能にする強い賛否両論の法制をごり押しで通過させた。ISISの戦闘員の手で日本人の人質が殺害されたにもかかわらず、イスラム国と戦い諸国への非軍事的な援助を提供した。

勃興する中国に対する防衛だという安倍の動機は明白だ。

これに応えてオバマは明白に保護を約束した。2014年に東京を訪問した際、尖閣諸島は安全保障条約の対象だと明言したのだ。

しかし、オバマ後はどうなるのだろう。安倍はロシアとの関係を強化する安全策を講じようと平和条約の妨げとなっている北方4島の問題の解決をはかったが、最近のプーチンの訪日でさしたる進展も得られなかった。

オバマと安倍が精力を注いできたTTPからトランプが米国の離脱を公約したことは、安倍にとってさらに大きな失望だった。

安倍首相にとってTPPは日本の製造業が関税なしに米国その他に輸出できるようにするばかりではなく、日本の農業変革を推進するための口実でもあったからだ。安倍首相は、トランプが思い直すことに望みをつないでいる。

安倍首相は、キューバを訪れて生前のカストロに会い、北朝鮮の核開発計画をなんとかするために力を貸してほしいと頼んた。また10月には日英で初の合同軍事演習を行い、東シナ海と南シナ海に関しより緊密な安全保障提携を確立させた。

だが、アメリカとの関係がかけがえのないものであることは間違いない。まずは、(なにひとつわかってない)トランプにとっぷりと教育をほどこすしか、手はないようなのだ」

2016© Hideko Otake



安倍首相の真珠湾訪問 なんだ4人目か! NYタイムズ紙の記事

NYタイムズ紙 12月26日の記事より


安倍首相の真珠湾訪問についてNYタイムズ(ウェブ版のみの確認です)は1226日と27日に国際面などに(もちろん、一面ではありません)、儀式のようす、安倍首相の演説などを掲載しましたが、個人的に面白かったのは、26日の記事「日本の首相による初訪問だと言ってたのに、なあんだ、どうも4人目らしい」というこの記事でした。Motoko Richという記者が書いていて、ざっと、こんな内容です。

1ヶ月ほど前に訪問が発表された時、日本の外務省は初訪問だと言ってたのに、その後、どうも吉田首相がサンフランシスコ講和条約調印後の帰途、立ち寄っていたことがわかった。その後、先週になってハワイの日本語紙が安倍首相の祖父である岸ともう一人、鳩山が訪問していたと発表。その新聞にちゃんと記事が残っていた。

すると日本の政府高官は、日本の現職の大統領がアメリカの現職の大統領と共にアリゾナ記念館を訪れ記念式典に参列、遺憾の念(謝罪ではない)を表するのは、これが始めてだと言い出した。

官邸は『なにしろ、60年前の記録も関わってたりするもんだから、確認が困難だった』などと言っている。が、まんざらありえないとは言い切れない。当時の日米それぞれの国民感情を考えれば、昔の訪問は喧伝せずに行われたからだ。

それにまあ、当時は、アメリカと日本を飛行機で行き来するには、ハワイで給油するしかなかったから、わざわざ訪問したというよりは、ついでに寄った感じもあったかもしれない。

いずれにしろ、岸の訪問を安倍が知らずにいたのは本当らしい。ちなみに『謝罪』が政治の世界で流通するようになったのは1980年代以降のことだが、日本の左派、中国ならびに韓国などでは、日本の首相の真珠湾訪問はアジアの近隣諸国への日本の武力侵略を無視するものだという批判の声があがっている。

日本現代史を専門とするコネチカット大学のアレクシス・ダッデン教授は、(NYタイムズの取材にこたえて)『この訪問を土台にして安倍首相が南京とソウルを訪問する日が来ればよいと思います』と語った」

とし、結論は、ま、ともかく、当日、どうなるかみまもりましょうと結んでいます。

 2016© Hideko Otake

2016年12月24日土曜日

ディープディッシュTV30周年

DDTV 30th Anniversary Reel from Deep Dish TV on Vimeo.

1986年に創設されたDEEP DISH TV (DDTV)は、全米各地の数百人の番組プロデューサーの手で制作され、民主的なやり方と内容でさまざまな問題を革新的な市民目線で捕らえるメディアです。30周年を記念して作られたビデオは、アメリカの30年間の市民運動のダイジェスト。ハワード・ジン、アンジェラ・デイビス、ムミア・アブ=ジャマール、アルンダティ・ロイ、ナオミ・クライン、エイミー・グッドマン、イラク戦争に反対する帰還兵の会、オキュパイ運動などなど、アメリカを揺り動かしてきたパワフルな人々、歴史的な出来事が続々と登場します。

2016年12月23日金曜日

虐殺の次は洪水 スタンディング・ロック・スー族の苦難の歴史


Dec 23, 2016


ダコタ・アクセス・パイプライン建設反対は、地元先住民たちの苦渋の歴史と集団的記憶に支えられています。反対運動の拠点として設立された野営地スタンディング・ロック・スー族の「聖なる石(Sacred Stone)」キャンプで、デモクラシー・ナウ!のエイミー・グッドマンは、201693日、野営地の創設者の1人で、郷土史家のラドンナ・ブレーブブルブル・アラードを取材しました。153年前のその日、女子供も含めてラドンナの先祖は虐殺されたのです。
そしてその後、生き延びた人たちがどうにかして再び築き上げたコミュニティはダム建設計画によって水没させられ、部族は緑の乏しい高地の保留地へと追いやられました。
ダコタ・アクセス・パイプラインは、いまは私有地となっているスタンディング・ロック・ズー族の先祖の墓地であり聖なる場を通過します。また、パイプラインが地下を通過するオアヒ湖につながるミズーリ川は部族の大切な水源でもあります。
パイプライン建設の提案は4月に出されました。オアヒ湖周辺は、米陸軍工兵司令部の所有地ですが、先住民への相談もなく許可が出してしまいました。そのため、スタンディング・スー族は米陸軍工兵司令部を告訴し、判決が出るまで工事の差し止めを請求しました。
8月末に首都ワシントンで聴聞会が開かれ、9月初めに判決が出ましたが、先住民のかけがえのない聖地であるという言い分は物証が乏しいとし、先住民の提訴は却下されました。ただし、連邦政府の管轄が及ぶ米陸軍工兵司令部の保有地に関しては水の安全の見地からさらに検討を重ねるよう、その部分の工事の一時差し止めが認められました。
かけがえのない聖地であるという物証が乏しいという部分には、こんな事情があります。その地域が私有地になっていることもあり、考古学的な検証を行うのが容易ではなく、ようやく最近になって調査が開始されたばかりだったのです。ダコタ・アクセス・パイプラインは全長1200マイル(約1930 km)にもおよびさまざまな部族が暮らしていた地を通過します。9月末に、先住民たちが国連でパイプライン建設反対を訴えたときには、米国の1200人を超える考古学者、博物館長、歴史家たちが、先住民の遺産が破壊されるとして反対を支援する表明を行いました。
ラドンナ・ブレーブブルブル・アラードのインタビューが行われたのは、この判決が出る直前でした。判決を待たずに、建設会社はこれ以上の調査を不可能にするかのように聖なる土地にブルドーザーを入れ、破壊を開始しました。思いあまって「私有地」にはいり抗議しようとした人たちを、建設会社の警備員たちは暴徒扱いし、ペパースプレーをかけ、犬をけしかけたのです。この時の映像がソーシャルネットワークで広がり、反対運動は多くの人たちの知るところとなりました。
以下は、インタビューの抄訳です。

2016年12月22日木曜日

水は命―ダコタ・アクセス・パイプラインの命を揺さぶる反対運動


 Dec 21, 2016

2016 年のアメリカは大統領選でとんでもない結果を出しましたが、勇気と希望を与えてくれるできごともありました。

ノースダコタ州の先住民によるダコタ・アクセス・パイプライン反対とそれを支持する人々の結集は、金と権力と「いま」しか眼中にない政治の時間軸に宇宙と地球、自然と生命というスピリチュアルな「祈り」の空間を対置させて大勢の人たちの心をつかみ、行動へと駆り立てました。

長年にわたり、政治的にも経済的にも社会的にもさんざんな目にあわされ、環境もインフラも破壊され続けてきた先住民が、「いつものこと」で終わらせずに、ここまで大きなうねりを作ることができたのは、なぜ? 1876年以来の規模で、各地に散らばる200近くの部族がスタンディング・ロック・スー族の抵抗の地に結集したのです。その背景には、オキュパイ以来よみがえった市民アクティビズムの水脈が環境運動を経てようやく先住民のアクティビズムにたどりついたという歴史的成果の他、神話の力が働いたという事情もあるようなのです。

ダコタ・アクセス・パイプラインに反対する人々は、自らを「水を守る人、大地を擁護する人」と呼んでいます。自分たちの土地は何世代も先の子孫たちからの預かり物であり、それを守るのがいま現世にある自分たちの役目だと考えるからです。

ガーディアン紙829日付の記事にこんな記載がみられます。先祖の墓地や聖なる場所を破壊し、大切な水源を汚染する可能性があるパイプライン建設反対のためにキャンプしている「野営地で大勢の人たちからよく聴かされた、こんな話がある。1890年代にさかのぼる2つの神話だ。ブラック・エルク(黒いヘラジカ)という名の指導者が予言で、7世代後にアメリカの先住民ネーションが大地を救うために結集すると述べた、というのだ。もうひとつはズゼカ蛇(黒蛇)が世界を脅威に陥れるだろうという予言だ。野営地に集まった人たちは、このパイプラインこそ黒蛇だと考えている。自分たちがこの7世代目にあたり、運命の時が来たのだ、と」


パイプライン建設反対に「ただの」環境運動を超えた神話的出来事と位置づける人たちがいるのです。また、そこまでいかなくとも、「水は命(Water is Life)」ということばが先住民を超え、大勢の人々の心にしっとりとしみこんでいるのは間違いありません。

2016年12月19日月曜日

オフオフの芝居『ブラック・パンサー・ウィメン』


Dec 11, 2016 at the Dorothy Strelsin Theatre

ジャクリーン・ウェイド作・演出のオフオフの芝居『ブラック・パンサー・ウィメン』。語られることの少ない、パンサーの女性メンバーにフォーカスしています。ウェイド自身はパンサーとは縁がなく育ったけれど、リーダー格や普通のメンバーだった女性数人から話を聞き、実話を膨らませて芝居にしました。



アンジェラ・デイビスは実名で登場しますが、エレイン・ブラウンやキャスリーン・クリーバーは、誰のことだかはっきりわかる設定になのに、違う名前に変わっています。エルドリッジ・クリーバーやヒューイ・ニュートンなど男性群も登場しますが、男共は2人とも、すでに亡くなっていることもあり、概してカリカチュア的に書かれ描かれています。キャストは全員女性で、男性役も女性が演じます。

もろてを挙げてのパンサー賛歌でもなく、かといって内幕ぼくろで受けようというあこぎな姿勢でもなく、醜い場面、セクシュアリティの微妙な問題、内輪もめなども含め等身大に描いています。



ブラック・ライブズ・マターなどの勢いを得て、いまと当時をつなげて点検したいという姿勢は明らかです。上演後、短いディスカッションの時間が設けられましたが、パンサーのことをほとんど何も知らない人もいて、キング牧師系の公民権運動の物語とは違い、危険をはらむパンサーが何を考え、何を求めていたか、時代を超えて生かす作業が欠けていたんだなあ、と実感しました。

ムミアに自由を 事件から35年


ムミア・アブ=ジャマールに自由を!元ブラックパンサーで政治活動家、ジャーナリストのムミアが殺人罪を科されることとなった警察官殺害時間が起きた12月9日に、ムミアを支援する集会がフィラデルフィアで開かれました。ムミアは一貫して無実を訴えています。ムミアはたゆまぬ支援運動で死刑判決はくつがえせたものの、アメリカで収監されている政治犯の代表的存在です。


終身刑は変わらず、現在C型肝炎で苦しんでいます。きちんとした治療を受けないと肝硬変やがんに進行するおそれも多い病気です。昼間の集会の場となったのは市庁舎前に立つフランク・リッツォ銅像前。市長になる前は警察のトップとしてブラックパンサー弾圧を売り物にした人です。集会は、ムミアやすべての収監者への治療を求め、どっさり集まった署名を刑務所担当の責任者に届けました。


夜の集会には、Move9 のこどもたちも参加しました。


MOVEは1970年代初頭から、黒人解放をめざしフィラデルフィア近郊で独自のコミューンを作りレイシズムや警察の暴力行為などに反対していました。1985年にはなんと警察のヘリコプターによる空爆まで受けて弾圧され、この襲撃で子供5人を含む11人が死亡しました。MOVE9 は、1978年以来、収監されているメンバー9人です。

ムミアのお兄さん。デモや集会へのますます多くの参加が悲願です。

アン・ライト 活動報告会


Dec 7, 2016



平和活動家のアン・ライト。世界を飛び歩き神出鬼没。29年間、米陸軍に勤務し退役したときは大佐。その後外交官としモンゴル、ソマリア、ニカラグアなど16年間、世界各地で活動しましたが、2003年、イラク戦争に抗議して辞職。沖縄にも何度か行っていて日本でもおなじみです。この秋にはWomen's Boatに乗船してガザに向かいましたがイスラエルに阻止されて拘置され帰国。またつい先日まで極寒のノースダコタ州スタンディングロックでの先住民のパイプライン建設反対支援に、他の退役軍人たちと共にはせさんじたばかりと、疲れをしらぬ活躍ぶりです。

そのアンの活動報告会が12月6日夜、ニューヨークで開かれました。Women's Boatはかつてのガザ支援船団の流れを汲む活動。イスラエルにより封鎖されているガザ、支援船は封鎖を破り封鎖に抗議すると共に、ガザ地区住民に食料・医薬品・建設資材を届けようとする試みで過去に何回か実施されましたが、毎回、イスラエルにより阻止され、2010年には軍による襲撃で死者を出す悲劇となりました。



Women's Boat to Gaza (WBG) は、船長も含め、全員が女性。9月半ばにスペインのバルセロナを13人が2艘の船で出航し、途中、数カ所で教育イベントを行いながらの3週間あまりの長旅でした。1艘が途中で故障したため、残りの1艘にぎゅう詰めになり、嵐や船酔いに苦しめられながら進んだのですが、ガザまで後50キロの地点で、イスラエル軍のお出迎えを受け、拘留の末、送還とあいなりました。

全員が女性。もちろん、非武装。身元も公表されていたため、イスラエル側も手荒なことはできません。以前の支援船団のときの重武装の兵士とは異なり、乗り込んできたのは女性兵士ばかり。戦闘服を着ず、武器も携帯せず、できるだけことを構えたくないらしいのがありありでした。兵士と1対1で話す機会をみつけたアンは、兵士だった自分の体験を述べ「国が間違ったことをするときには従ってはだめ」と語りかけたと言います。


拿捕ははじめから想定されたことでした。Women's Boat に参加したのは世界各国から来たさまざまな体験を積み肝のすわった女性たちばかり。それでもイスラエル兵士が乗り込んできたときパニックに陥らないよう、惨事をおこさないよう、ガザに近づくまで繰り返しトレーニングを積んだそうです。「どうせガザには着けない。つかまって送還されるだけ、無駄ではないか」という声があることを、もちろん、アンは知っています。それでもガザの住民に、「世界はあなた方のことを思っている、忘れてはいない」という希望を届けるため、ぜひまた試みたいと意欲をもやしています。

デモクラシー・ナウ!20周年


Dec 5, 2016

アメリカを代表する独立メディア、デモクラシー・ナウ!スタンディングロック・スー族のパイプライン建設反対運動が広く世間に知れ渡り、人々の支持を得るようになったのも、DN の取材が引き金でした。主要メディアがいかない現地に赴き、果敢な取材で犬をけしかけられながら闘う先住民たちの声を伝えたのです。取材を行ったエイミー・グッドマンには逮捕状が出され、あやうく騒乱罪などという途方もない罪を着せられるところでした。


20周年記念イベントでエイミー・グッドマンは、次のようにあいさつしました。「声なきところ、沈黙があるところに私たちは赴きます。行ってみると沈黙などありません。人々は運動を組みたて、大声で主張し、歌い、踊り、戦略をたてています。企業メディアのレーダーにはいらないだけです。デモクラシー・ナウ!はそんな場所に行きます」。また、「私たちは権力を取材します。権力のための取材はしません」とも。


パティ・スミスの「People Have the Power」も泣けました。ビデオでさわりをどうぞ。


NY時間の12 月5日夜に行われた記念イベントは、下記のリンクでストリーミングが見られます。余談ですが、Democracy Now!の日本語版サイトDemocracy Now! Japan (Democracynow.jp) のお手伝いをしていることを(ほんのちょっぴりだけですが)改めてとても誇りに思った夜でした。

マネキンフラッシュモブ 先住民の地へのパイプライン反対 


Dec 4, 2016

聞こえない声があたりをひたす。凜として美しい。強い。無言でポーズを決めてたたずむマネキン・フラッシュ・モブ。何だろうと立ち止まる人、質問する人。クリスマスショッピングで賑わうニューヨークの中央駅グランドセントラルで。ノースダコタ州でパイプライン建設に反対するスタンディングロック・スー族の「水を守る人」たちを支援し、パイプライン反対と、環境の保護、日本も含め建設を進めるエナジー・トランスファー・パートナーズに多額の投資をしている金融機関に撤退を呼びかけました。





ノースダコタ州の石油パイプライン建設計画抗議集会 in NY


Nov 15, 2016
Stand with Standing Rock. Nov 15 #NoDAPL Day of Action in New York
ノースダコタ州の石油パイプライン建設計画に反対を続けている先住民スタンディングロック・スー族への連帯を表明する全国行動の日。NYでのシーンです。元々白人が9割の町を通る計画だったのに町民が反対したので先住民の地を通ることになったといういわくつき。水源と神聖な土地が脅かされ、環境が汚染されるとして強く反対しています。




ブラックパンサー50周年 NY支部イベント


Nov 14, 2016
All Power to the People! Black Panthers, stand up! at the 50th Anniversary Celebration of Black Panther Party New York Chapter. #NAABPP
ブラックパンサーNY支部50周年のお祝い。往年のパンサーたちが起立。年はとれど、志はいまも変わらず。

2016年12月18日日曜日

反トランプ集会


Nov 12, 2016
ユニオンスクエアでのNot My President集会。熱気むんむん。
。黙ってなんか、いられない。選挙開票いまだに進行中。投票者からの獲得票、12日の時点でヒラリーへの投票はトランプを180万票上回っています。

トランプ当選のショックは地下鉄セラピーで


2016年11月10日

いつもはただやたらに長く殺風景な14丁目の地下鉄乗り換え通路。今日はなにやらに華やいでいる。「愛は黙っていない」とか「レイシズムなんてだめ」「権利のために闘うぞ」だとか手書きで書かれたメモ用紙が壁を埋め尽くしてる。「名誉博士」の証書(もちろんにせもの)を麗々しく掲げてテーブルについているのは「地下鉄セラピスト」の「レビー博士」。


35ドルでテーブルを買って地下鉄セラピストをはじめたのは半年ほど前。「人がどんな時に気分よくなるか、どんな時に気分悪くなるのか、興味があってね。ほら、家族とか友達、宗教とか、そんな相手がいれば気も晴れるけど、話せる相手がいない人も大勢いるからさ」
メモのプロジェクトは昨日始めたばかり。トランプ当選でかりかりしてる人たちのストレス緩和になるかな、と。トランプ、ヒラリー、どっちの側についてるわけじゃない。誰でも自分の思いを言える。「コミュニティの一員としてつながれるでしょ」おとなも子供も立ち止まり、メモを書いたり読んだり、携帯で撮影したり。なごんでる。



911の時もそうだった。街が危機の中にいるとき、ほんとに素朴でおしつけがましくないやり方で人のつながりを感じさせてくれるやり方をだれかがみつけてくる。ニューヨークってそんな場所。やっぱりこの街が好き。

OKINAWA: The Afterburn (『沖縄うりずんの雨』) NY上映会


2016年11月5日

『沖縄うりずんの雨』の再編集英語版『Okinawa:the Afterburn』全米8カ所で上映ツアー中。ボストンのハーバード大学での上映を終え、NYでも11月5日、監督のジャン・ユンカーマンさんを迎えた上映会が開かれました。日本版に比べて2時間に短縮されたほか、アメリカの観客に沖縄の今をみてもらうため、新たなインタビューが加えられました。



『ザ・思いやり』NY上映会


ドキュメンタリー映画『ザ・思いやり』のNYでの上映会(海外初上映だそう)に行ってきました。すでに6兆円もの税金が注ぎこまれてしまった、どう考えてもいびつな日本の思いやり予算の問題にコミカルにかつ真摯に向き合った作品です。

上映後のリラン・バクレー監督のビデオトークによると(ウィキリークスが暴露した)イラク戦争の映像『コラテラル・マーダー』を見たのが製作の引き金。厚木基地に近い綾瀬で家族とともに暮らすバクレーさんは、毎日のように騒音を立てて頭上を飛ぶ自国アメリカの戦闘機が殺戮に直結していることを知り、やむにやまれぬ思いにかられました。

なぜ?どうして?の素朴な疑問


2年半をかけて作られたこの映画はたぶんに手作り的で「なぜ、どうして?」という素朴な疑問にあふれています。

津波のためにすべてを失い先行きの見えない暮らしを送る被災者は後回しにして、米軍とその家族、基地施設のために巨額な税金を注ぎ込む日本政府。沖縄の負担軽減のためグアムに基地機能の一部を移転する計画もありこれにも日本政府が巨額を拠出していますが、大規模な人口の突然の流入と施設建設がグアムの自然と社会環境に壊滅的な打撃を与えるのは必至です。

被害者は、基地周辺の住民にとどまりません。潤沢な住宅や暮らしを日本で提供され良い目を見ているはずの米兵も、激戦地に送られた末、生命を落としたり、心身ともに取り返しのつかない傷を負い、帰国後も貧困や孤独の中で苦しんでいる人たちが大勢います。幸せだった家族生活も破壊されてしまうのです。

今後5年間で約9500億円


思いやり予算の実態については巨額な数字が飛び交い、頭がくらくらしてきたので、家に帰ってから最近の数字を探してみました。2016年4月に今後5年間(2016~2020)に向けて総額9465億円が日本側負担として議会で承認されたようです。これは15年度までの5年間の総額を133億円上回っています。

お人好しの国民を美辞麗句で金縛りにして、やりたい放題やる。日本政府のいつもながらの悪巧みがここでもまた繰り広げられています。「思いやり」という温かく人情あふれることばを食い物にして汚してしまった。

映画は、グアムからハリウッド、沖縄、石巻などなどでさまざまな人々の声を集めています。が、結局のところ、私たちが問いかけるべき相手は私たち自身です。なぜ、私たちはこんないびつな予算を通させてしまっているのか?なぜ、とめようとしないのか?どうしたら、とめられるのか?

ちなみに、『コラテラル・マーダー』のビデオをわたしたちの目に触れさせてくれた最大の貢献者チェルシー・マニングは2013年に、スパイ活動法などに違反したとして禁固35年の有罪判決を受けて現在も服役中で、何かと脚光を浴びるスノーデンと比べて、忘れられた存在にされつつあります。