2017年11月27日月曜日

ジョヤゴル––ピンクのいるかが大好きなチェジュ島のアクティビスト

辺野古にジュゴンがいるように、チェジュ島(済州島)にはピンクのいるかがいるらしい。 ホットピンク・ドルフィンズ―それがジョヤゴル(Joyakgol)が作ったグループの名前だ。



韓国のアクティビスト、ジョヤゴル。平和と環境を守るため、激しく歌い、書き、行動する彼が、ニューヨークで講演を行った。トランプがアジアへの訪問を始めるほんの少し前、10月27日の夜のことだ。

 韓国では徴兵制がしかれている。拒否すれば1年半の投獄が課される。19歳で兵役を強いられたこと、その時の体験がアクティビストへの道を開いた。

 具体的な「この一瞬」という出来事があったのか、耐えがたい日々の積み重ねだったのか、この日の話ではよくわからなかったけれど、軍隊での体験がトラウマになり、「僕と同じような体験を他の誰にもさせたくないと思った」とジョヤゴルはいう。

 日本の自衛隊募集は「大切な人を守りたい」という謳い文句で気を引くが、韓国では「立ち上がって同胞姉妹を守れ」という。発想は同じだ。さらに会ったこともない「コミュニストを憎悪し、コミュニストを殺せ」と教える。「後になって僕は知った」とジョヤゴル。「若者が訓練されるのは、エスタブリッシュメント、支配階級、特権階級。国民を支配し、抑圧する連中を守るためなんだ」。

 軍では、「愛国心」もたたき込もうとした。「でも、祖国を愛するとは、政府を愛することじゃない。ピョンテク(平沢)の小さな村の農民たち、米や作物を育てて暮らしてきた農民の一人が僕に言った。『祖国を愛するとは、大地を愛することなんだ』と」。


 韓国の軍国主義に対するジョヤゴルの抵抗運動は、ピョンテクで始まった。2004年、韓国政府は巨大な米軍基地「キャンプ・ハンフリーズ」をさらに拡張するため、500人近くの農民の立ち退きを命じた。先祖代々、この地で生き、暮らしてきた農民たちは、拒否し抵抗を続けたが、ついに2006年5月4日、朝5時、武装した機動隊と軍兵士2万人が投入され、土地と村を守ろうとした農民と支援者たちは必死の抵抗むなしく排除された。

 なぜ、それほどの拡張が必要だったのか?当時、米軍はアジア太平洋地域の戦略を変更しつつあった。かつては、韓国に駐留する米軍は韓国を守ることを任務とし動くことはなかった。だが、新しい「戦略的柔軟性」の下、政権が必要とすれば、アフガニスタンでもイラクでも米軍の計画にのっとってどこにでも出かけていくようになった、そのために基地の際限ない拡大が必要になったとジョヤゴルは言う。

 美しい田はつぶされ、いまでは米軍人の住居、飛行場、格納庫など、戦争に必要なインフラが見晴らす限り続く風景と化した。


 抵抗運動の中で、皆が歌った歌がある。『サンセット(日没)』––水田から見る日没は、得も言われぬ美しさ。だから、人々はこの歌を愛した。その水田の姿はいまはなく、死をもたらす武器置き場に変わった。
韓国は、日本のおよそ4分の1の広さだが、現在、83の米軍基地があるという。さらに、もうひとつ、ソンジュ(星州)のゴルフコースにTHAAD(高高度迎撃ミサイルシステム)が配備され、新たな基地とされることになった。ソンジュの村人たちは文字通り日夜を徹して、ゴルフ場にはいっていく軍用車と建設会社の車を止めようと体を張って頑張った。

 発射台6基は配備され、1基につき8基の迎撃ミサイルが装備されるので、計算上では、合計48のミサイルを迎撃できることになる。だが、それだけではない。半径1000キロを優に超え情報収集範囲2000キロという人もいる高性能レーダーが設置され、北朝鮮はもちろん、中国、さらにはロシアの軍や市民の動向を監視できるようになるのだ。だが、2017年9月7日、韓国政府は武装した機動隊8000人を動員して、ジョヤゴルはじめ反対していた人々の強制排除し、残っていた4基のTHAADを運び入れてしまった。

 チェジュ島は美しい自然にめぐまれている。海にはピンクのいるかがいる。カンジョン(江汀)村の村人たちが海軍基地の建設に反対して活動を始めたのは、2007年のことだった。韓国政府がチェジュに新しい海軍基地を作ると発表したとき、人々は首をかしげた。大韓民国海軍の基地はすでに5港あった。なぜ、またひとつ必要なのか?北朝鮮の脅威があるから、と政府は説明したが、チェジュは、北から最も離れた韓国の南端に位置している。南シナ海と東シナ海に面しているのだ。反対運動にも拘わらず、工事は2011年に開始され、2016年に終了した。だが、人々は基地の閉鎖を求め、いまも抗議を続けている。

 チェジュ島の住人、ジョヤゴルは毎日のように、できあがった海軍基地を目にする。だが、1年のうち3分の1近くは、基地はからっぽだ。大韓民国海軍には、ジェジュに送るだけの数の船をもっていない。

 では、誰が使うための基地なのか?米軍だとジョヤゴルは言う。10月には大規模な米韓合同演習が実施され、イージス・ミサイルはじめハイテク武器で武装した米海軍の戦艦30艘が参加し、演習終了後、1艘がジェジュを訪れた。米軍の船がチェジュを訪れるのは、初めてではない。

 2016年2月には米太平洋軍司令官が、巨大なズムウォルト級ミサイル駆逐艦をチェジュ海軍基地に派遣したいと発言した。ズムウォルトはステルス機能をもち、レーダーで見ると小さな漁船のようにしか見えないが、強力なミサイルを装備しており、1艘の建造に40億ドル、50億ドルかかるといわれる。



 北朝鮮の脅威があるから、アメリカからやって来る戦略上、役立つものは、なにでも歓迎と韓国政府は言う。だが、こんなものがやって来て、韓国国民は、これで安全だと感じているだろうか?とんでもないとジョヤゴルは言う。チェジュ島ではこれまで目にしたことのない数の米海軍兵士を目にする。「良き隣人」というけれど、友人が戦艦に乗って来るものだろうか?

 戦闘になれば、「北朝鮮の人も命を落とすが、私たちも死ぬ」のだ。朝鮮戦争では、600万近い人が亡くなったとも言われている。米軍の手で殺されたのは、軍人だけではない。大勢の民間人が命を落とした。

 特に、チェジュ島では朝鮮半島の南北分断に反対して人々が人民委員会を組織し、抵抗運動を行った。米軍はこれを嫌い、1947年から1954年までの間に蜂起した人々への虐殺が繰り広げられた。虐殺された人の数は、公式には3万人とされているが、実際には、8万人ちかくにおよんだという人もいる。島の人たちにとって、戦争はまだ終わっていない。そんな島に巨大な基地を作り、アメリカの戦艦を呼び込んで、残虐行為の記憶をかきたてるのだ。

 トランプは、日夜、北朝鮮に対して恐ろしい脅威をつきつける発言をしているが、韓国には、アメリカの民間人20万人、100万人の中国人も住んでいる。トランプの子供じみた行為で、小さな朝鮮半島では、皆が命を落とすことになる。「だから、僕らは、ドナルド・トランプに対して憤りを覚えている。『すべての選択肢をテーブルの載せた』と言っているが、そもそも軍事行動が選択肢のひとつであってはならない」とジョヤゴルは、言う。

 アメリカは韓国を守っているというが、実際には、朝鮮半島で軍事的な脅威をかきたてているだけだ。軍事基地を増し、より多くの兵を送り、THAADを配備する。THAADは高高度迎撃ミサイルで、高度のミサイルを打ち落とす。だが、「朝鮮半島は小さく、たとえ北朝鮮がミサイルを撃ったとしても、THAADの守備範囲の高度に達しない。THAADでは、北朝鮮のミサイルを迎撃することはできない」のだ。

 朝鮮戦争は1953年に署名された休戦協定で停止されたが、「最終的な平和解決」(平和条約)はいまだ成立していない。北朝鮮は、アメリカや韓国との条約の交渉を提案してきたが、アメリカは北朝鮮が崩壊して韓国に併合されるのをひたすら待っているように見受けられる。

 残念なことだが、たとえ韓国が戦争を嫌い、平和を求めたとしても、アメリカが動かないまま、韓国だけで独自に北朝鮮と和平交渉を行うことはできない状況にある。そして、ジョヤゴルが指摘するように、レーダー製造業者のレイセオン社はじめ、ロッキード・マーティン社などのアメリカの軍需産業は、現状を維持して武器を輸出し金儲けすることを諦めようとはしない。

 韓国は、アメリカの軍需企業最大のお得意さまだ。ロッキード・マーティン社のF35を40機も購入した。2014年、韓国は78億ドル分の武器を輸入したが、そのうちの70億ドルは、アメリカからだった。

 「11月7日、トランプが韓国を訪れる日、韓国では、大勢の人たちがストリートに出て、抗議の声をあげるだろう。僕も声をあげる。アメリカがアジア太平洋地域にますます多くの軍を送ってくることを知っているからだ。オバマ大統領は、米海軍の6割をアジア太平洋地域に置くと公言した。だから、ジェジュ島の基地は作られ、THAADが配備された。ほかの皆と力を合わせ、僕はチェジュ島の海軍基地反対の闘いをあきらめない。ソンジュの人たちも、いまなお、通りに座り込み、ゴルフ場の入り口にいたる1本道で車を止めている。僕らは軍事化に反対する闘いをやめない。平和を求める闘いをやめない」。

 終始緊張した面持ちだったジョヤゴル。講演が終わってから挨拶しに行ったら、「ああ、沖縄!辺野古には、何度も行きました。ガンバロウ」。顔いっぱいが笑顔でとろけた。
(文責=大竹秀子)

2017年11月11日土曜日

ビリン村のイヤード・ブルナート:暴力に走れば、イスラエルの思うつぼ

辺野古基地建設反対のバナーに、パレスチナのイヤード・ブルナートさんが、支援のサインをしてくれました。「I love fighters」と、イヤードさん。


イヤード・ブルナートさんは、ドキュメンタリー映画『壊された5つのカメラ』(イヤードさんの兄のイマードさんが監督のひとり)などでもおなじみのビリン村で生まれ育ちました。2004年、パレスチナの地に強引に作ったイスラエルの入植地の入植者の安全を守るためという名目で、ビリンの畑の6割を村人の住居から隔絶する壁が建設され、村人が大切に育て、生活の糧としてきたオリーブの樹が1000本、引き抜かれたり、焼かれたりという暴挙が起きました。20059月、イヤードさんたちは、非暴力抵抗運動を開始し、2007年、ついにイスラエル最高裁からすでに立っていた壁を撤去し、村人に畑が戻る形で移動せよという判決を出させることに成功しました。

2017年11月6日月曜日

「いまさら、殺される覚悟なんかしてたまるか」― 謝花悦子さん(伊江島 わびあいの里)

謝花悦子さん、ジャーナリストのジョン・ミッチェルさんと。わびあいの里で。

NHKの力作ドキュメンタリー番組「沖縄と核」を伊江島で見た。
 1950年代、冷戦と米ソの核開発競争が進む中、沖縄がアメリカの核基地化されていったこと、1950年代末の米海兵隊の沖縄への重点的な配備・移転の裏には米軍の核戦略があったこと、1950年代半ば、沖縄はアジア最大の核弾薬庫と化したこと、備蓄された核兵器を攻撃から守るため核弾頭をつけたミサイルが配備されたこと、1959年6月、那覇で核ミサイルの誤射事故が起きたが闇に葬られたこと、日本政府が知らぬ存ぜぬをきめこんだことなどなどを、新たに入手した機密文書や、現場で当事者だった元米兵の生々しい証言をもとにじりじりと検証していく迫力ある番組だ。



 

2017年10月31日火曜日

「死にたい、辞めたい」自衛隊員たちの悲鳴––小西誠さんの講演会報告

Oct 30, 2017

 現在、島嶼作戦の演習が繰り広げられている自衛隊。奄美大島の市街地で警備態勢が取られ、今後は対馬でのように市街地で戦闘訓練が行われるようになる可能性も大らしい。そんな中、大分で演習中だった隊員1名の自死が報道されました。安倍政権による戦争ができる日本への強引なかじ取りにも拘わらず、自衛隊にはパワハラ、いじめが蔓延し、「死にたい、辞めたい」という声がもれ聞こえ、戦争どころではない状態のようです。


 元反戦自衛官として、反戦に向けて精力的な活動を続けながら、「自衛官人権ホットライン」相談室を運営し隊員への人権抑圧への対処に貢献し、『自衛隊 この国営ブラック企業』の著書もある小西誠さん。ホットラインの掲示板には、隊員や家族の悲鳴のような書き込みが、続々と送られてきます。101日の京都での講演は、自衛隊の現場を身をもって体験し、現状も熟知なさっている小西さんならではの生々しいものでした。以下、かいつまんでまとめてみました。(文責:大竹秀子)


 いじめ、パワハラ、自殺。この10年間で自衛隊員の家族からの裁判が急増し、現職自衛官による告発・裁判も始まっている。「自衛官人権ホットライン」相談室への相談で、最近、一番多い相談が、幹部自衛官からの相談。上級幹部から下級幹部へのパワハラ。

 もうひとつは、辞めたいのに辞めさせない。一般隊員は2年、あるいは3年の任期制で、その間は辞めないと誓約して入隊するので、その間はなかなかやめられないが、それ以外の幹部クラスでも辞めたくても辞めさせない。引き止められてうつ状態になり、どうにもならなくなって相談室に相談してくる。

 辞めさせない理由は、隊員の不足。特に海上自衛隊。海自は、ある意味で一番忙しい。ジブチに行ったり、湾岸に出ていったり。その他、演習で航海ばかりやっている。一番、人気がなく、定員も相当、割っている。

 日米共同演習がすべての部隊に広がっているが、アメリカはずっと戦争をやり実戦体験をつんでおり、訓練が全然違う。米軍には頭があがらない。自衛隊は、たとえば通信など技術屋になれ、プロになれという教育をする。下士官層と幹部層が多くて任期制の一般隊員が減っている。部隊によっては一般隊員がはいってこない。下士官でもいつまでたってもお茶くみでいじめられる人がいっぱいいる。

 いま、自衛隊の中が大変なストレス状態にある。原因は複合的。自衛隊の大再編が始まり、全国的な異動がおき、仕事も変わる。いままで戦車部隊だった人が急にミサイル部隊に配置など、仕事が変わり、勤務地も変わる。これから先島諸島への転任も間違いなく増える。家族が行きたがらないと単身赴任になる。そういう状態の中で非常に複合的な要因でストレス状態が蔓延している。

2017年10月7日土曜日

ジュゴンの日 ジュゴンを救えスタンディング in NY

10月5日 Save Dugons ジュゴン・スタンディング in NY 総領事館前

ひと月ぶりにNYに帰ってみると紀子さんや志津子さんがジュゴン・ステンディングでやおら盛り上がっている。今日は10月5日。ジュゴンの日。ちなみに中秋の名月。いつのまにやら毎週の恒例になったスタンディングの3週目、パークアベニューの日本総領事館前にくりだすのだ。




今日はなんとサブローさんの三線も登場する豪華版。ウチナーグチで歌うのだ。志津子さんが作りまくった、持つの思いなあバナー、金魚さん作の空飛ぶジュゴンのパネルもある。そして、えへん、東京で「にもにも」(美ら海にもやんばるにも基地はいらない市民の会)の方からいただいてきた(というか、強奪してきた)ちびジュゴンのぬいぐるみもある。

2017年10月5日木曜日

レポート:「今 自衛隊をどうする?」 オキナワ島嶼戦争――南西諸島への自衛隊配備 ~講師 軍事ジャーナリスト・小西誠

10月1日、京都で開かれた元反戦自衛官で軍事ジャーナリストの小西誠さんの5時間講演。先島で着々粛々と始められ、メディアの沈黙の中、ひっそりと進められようとしている自衛隊による軍事化。情報公開請求や現地での取材、米日の戦略の分析であらわにしていきます。
南西諸島への自衛隊の大配備計画、そしてその目的とされる「離島防衛作戦・上陸作戦」が初めて策定されたのは2000年、尖閣問題で日中関係が悪化するはるか前のことだといいます。冷戦の終結で長年の仮想敵国を失った防衛省・自衛隊は米軍ともども、その存在理由をかけて新しい敵を必要としていた。恰好な存在が中国でした。先島諸島への自衛艇の配備は、中国封じ込めを目的としており、自衛隊は「米軍、とりわけ沖縄駐留米軍の介入さえ極力避け」て「自衛隊主体の戦争」を想定していると小西さんは言います。日中間の緊張をあおってきたのは、誰なのか?

2017年10月1日日曜日

防衛省交渉「辺野古の工事、いまどうなっているの?」

Sept 30, 2017 メンツがそろった。抗議船船長でもある北上田毅さんが公共土木専門家の見識と情報開示で得た知識をいかして辺野古の工事の違法性をぐいぐいと攻め、福島みずほ議員が防衛省側の回答の弱みにここぞとばかりにくらいつき、山城博治さんがかぶりつきの席からがんをつける。9月28日、参議院議員会館講堂での防衛省交渉「辺野古の工事、いまどうなっているの?」、なかなかでした。


北上田さんの緻密なレポートは、ブログ「チョイさんの沖縄日記」やIWJ、FoE Japan のホームページでご覧いただけるので、ここでは、9月27日の市民集会と28日の防衛省交渉院内集会での山城博治さんの発言のハイライトをつまんで、ご報告。辺野古のいま、闘いのこれからが、わかります。