2017年5月3日水曜日

キャンディ・モセット:シェールガス採掘で身も心も破壊にさらされる先住民の女性たち

May 2, 2017


スタンディング・ロックでの先住民たちの闘いからたくさんの感動と勇気をもらった私たち。でも、先住民の苦境はいまに始まったことではなく、終わりを迎えたわけでもありません。キャンディ・モセットのこのインタビューは、パイプラインのみならず石油・ガス掘削産業が地域社会に来ることが人々の、特に地域の女性の心と身体にどんな破壊をもたらすかを端的に語ります。2015年12月、第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)でともにパリにいあわせたデモクラシー・ナウ!のエイミー・グッドマンがキャンディ・モセットに聞きました。(原文は、ここ)(翻訳:大竹秀子)



エイミー・グッドマン: ノースダコタは、どんな状況ですか?たとえば、フラッキングは?聞かせてください。

キャンディ・モセット: はい。フラッキングの前には、石炭を燃料とする火力発電所が7つあり、私たちはみな、水銀汚染とそれによるガンの発症に苦しめられました。その後、2007年頃にフラッキングがやってきて、ずたずたに切り刻まれる死に立ち向かうことになりました。人々は文字通り、最前線に身を置くはめになり、巨大なトラックの交通で命を落とした人もいますし、女性への暴力が増大しています。石油産業が来て以来、1万1000の雇用が創出され、1万人以上が私たちの州にやってきました。それと共に女性に対する暴力が168 パーセント増大し、なかでもレイプの増大がきわだっています。14~15歳、16歳の女の子たちが、自分から「男のキャンプ」に行って自分を売るのです。

エイミー・グッドマン: 男のキャンプ?

キャンディ・モセット: 私たちは、そう呼んでいます。数千人の男たちがむさくるしい場所で暮らしていますから。FEMA (米連邦緊急事態管理局)の(ハリケーン被災者用)トレーラーかキャンピング・カー用公園というか、少しのスペースでも利用され、かつては小麦やひまわりの畑だったところがフラッキング作業に使われているんです。犯罪や暴力、薬物中毒が続発するのを目にしてきました。私自身、この1年間に、若い女性2人の埋葬に立ち合いました。どちらも私の友達で、ヘロイン中毒でした。組織犯罪もはびこっています。有毒物による環境汚染は、20年後にあらわになるでしょう。今回の第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で私の2歳半の娘が声をあげられないことが私にはとても心配です。最悪の影響を受けることになるのは、娘たちの世代ですから。COP21がこんな風でしかなく、私のコミュニティが犠牲地帯とされるのは、本当に理不尽だと思います。

エイミー・グッドマン: キャンディ、あなたはガンのサバイバーですね?

キャンディ・モセット: ええ、大学生の時にステージ4の肉腫と診断されました。いま、ここにいられなくても不思議ではなかったのです。診断がくだるまで1ヶ月近くまたされました。診断が出たとき、筋肉や骨がおかされていなくて運がよかったといわれました。手術を5回受け、大きな傷がのこってますし、いつも再発を心配しなければなりません。でも、私はこうしてここにいますが、サバイバルできずにもういない友達もいます。いま癌と闘っている友達もいます。ですから、私にとっては、健康と気候、環境はぬきさしがたく結びついています。そして、私たちはその最前線にいるのです。

エイミー・グッドマン: キャンディ、聞きたいのですが、民間の先住民が大勢こに来ています。

キャンディ・モセット: はい。

エイミー・グッドマン: そのことで、どんな希望が生まれますか?ここ2週間、この地でおこなった組織化は、どんな意味をもつでしょう?どんな人とつながりましたか?

キャンディ・モセット: 多くの時間を会場の外で過ごしました。私たちの団体「先住民環境ネットワーク(Indigenous Environmental Network)」は、内外両方に関わるべきだという戦略をとっています。中にもはいるべきだと感じるのです。みながよく口にする「テーブルにつかなければ、メニューにのる(くいものになる)はめになる」という言い方があります。COP のプロセスをそっくり弾劾したくなり、参加してお墨付きをあたえるなんていやだと思うけれども、それでもテーブルにつかないわけにはいかない。21年間、毎年「すばらしい合意がうまれる。ほんとにわくわくする」と言いながら、結局、最後に出てくる文面はしようのないもので、全員がいらつく。

ですから、私たちがいまやっているのは、非暴力直接行動の組織化です。パリの街頭に出て、パリのブラザーやシスターたちに会いました。グローバルな北と南のブラザーとシスターたちが一緒になって連帯しこう言いました。「会議の文書に何が書かれていようと私たちには、どうでもいい。私たちは外で、生きることの現実、母なる地球を通して教育し、自分たちのコミュニティにパワーを取り戻す。外に出て、顔に太陽をほほに風を感じよう」と。大事なのは、そこだから。COP 21開催のために建設された無味乾燥なこの四角い箱の中ではなく。

私たちは外に出て私たちの母なる大地ともういちど、つながる。なぜって、私たちが地球を大切にするとき、地球も私たちを大切にしてくれるからです。


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