2017年9月25日月曜日

アミラ・ハス:パレスチナ占領50年

Sept 17, 2017

東京での講演会。1日目
東京大学での講演会で

これがあるから泣く泣く沖縄から帰ってきた。闘うジャーナリスト、アミラ・ハスさんの東京での2日続きの講演会の初日。アミラさんは、イスラエル人でありながら、そしてイスラエル人であるゆえに、1993年からガザ、1997年からは西岸のラマラに住み、パレスチナ占領の現地から報道するパレスチナ報道の第一人者として高い尊敬を集めている人物だ。

ハアレツ紙の記者になる前には、「労働者ホットライン」というNGOで仕事し、搾取されているパレスチナ人労働者の権利行使を支援していたアミラ。「客観的な報道はない」と言い切る。特にパレスチナ占領を行っている自国について報道するイスラエル人ジャーナリストだからこそ、自分の意見をもち、自分の世界観を出し、正直であるべきだという。社会に対する自分の責任をつきつめる。真髄はアクティビストなのだ。



イスラエル人である限り、パレスチナ人ならもてない特権を与えられる。たとえば、ラマラに住むパレスチナ人にとっては月の世界のように遠いエルサレムにもイスラエル人である自分は、なんの問題もなくすんなり行けてしまう。そんな特権を使ってしまうことで、占領を行っているシステムの協力者となる。その自覚ははっきりある。



占領への協力者であるという事実を消し去ることはできないという苦みは、つねにつきまとう。でも、その苦い体験を抱え続けるからこそ、占領がいかに残酷なものか、占領の構造を把握し語り、伝えることで、占領への抵抗に役立ちたいという。

オスロ合意が、「平和」を掲げながら、イスラエルの植民地主義を深化させ根付かせることに利用されたと、アミラさんは痛恨の思いだ。

書き続けるモチベーションは、怒り。記事を書くことで協力者であることを少しでも小さくできれば、という。これって本土のジャーナリストが沖縄にどう向き合うかとも重なる。

が、一方で、アミラはイスラエル人記者として、欧米リベラルのイスラエル特別視にしっくりしないものも感じている。パレスチナ人からのイスラエル批判は真摯に受け止めても、自らの過去・現在の植民地支配を棚にあげた欧米リベラルの言説には違和感を覚える。なぜなら、イスラエルが行っている権力の行使のパターンはある意味、特別なものではなく欧米が行ってきた支配につらなる普遍性をもつからだ。

日本もひとごとではない。イスラエルを支持するアメリカを批判せず、べったり追随することで、現状に加担しているのだ。確かに日本はパレスチナ「自治」政府に経済支援をしている。だが、それが政治的には動かずにいることへの免罪符にされていないか。そうアミラは問う。


パレスチナ占領50年の今年、こんなアミラさんを日本によぶために奔走したのは、過去32年間、パレスチナ報道を続けてきたジャーナリストの土井敏邦さんだ。金策に悩んで鬱になる日もあった。が、クラウドファンディングの協力者のほか、個人で100万円寄付する人も現れ、今回の来日が実現した。

講演2日目の明日は、沖縄を取材してきたばかりのアミラさんの沖縄報告が行われる。楽しみ!

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